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はじめに:二重埋没法の糸トラブルは意外と多い
二重埋没法は、メスを使わない手軽な美容整形として人気を集めていますが、術後数年経過してから「まぶたから糸が出てきた」「目がゴロゴロする」といったトラブルに悩む方が少なくありません。
特に、手術から5年、10年、さらには20年以上経過してから症状が現れることもあり、「まさか埋没法の糸が原因だとは思わなかった」という声も多く聞かれます。

本記事では、実際に二重埋没を体験した私が、埋没法の糸露出に関する症状から対処法、そして眼科受診の必要性まで、詳しく解説していきます。
二重埋没法の糸が露出する仕組みと原因

二重埋没法で使用される糸の特徴
二重埋没法では、二重ラインを維持するために吸収されない合成糸(ナイロン糸)を使用します。
この糸は髪の毛よりも細い0.030mm程度の極細サイズですが、体内で分解されることなく、まぶたの中に半永久的に残存します。
糸の色は施術を行うクリニックによって異なり、青色・黒色・透明・白色などがありますが、どの色を使用しても露出リスクは変わりません。
なぜ二重埋没の糸が出てくるのか?3つの主要メカニズム
糸の経年劣化による断裂
二重埋没手術から年月が経過すると、まぶたの開閉運動による物理的ストレスが蓄積し、糸が切れることがあります。
特に以下の条件下で断裂リスクが高まります。
- 二重埋没後5年以上経過している場合
- 目をこする習慣がある方
- アレルギー性結膜炎などで頻繁に目をかく方
- コンタクトレンズの着脱時に強い力がかかる方
不適切な二重埋没による露出
手術時の技術的な問題により、糸が皮膚の浅い層に留置されてしまうと、体の防御反応として異物を排除しようとする機能が働き、糸が押し出されてきます。
瘢痕組織の変化
糸の周囲には瘢痕組織が形成されますが、この組織が時間とともに変化し、糸の固定が緩むことで露出につながることがあります。
二重埋没の糸が露出しやすい部位と特徴
二重埋没の糸の露出は主に2つの部位で発生します。
まぶたの表側(皮膚側)
- 結び目がポコッと隆起して見える
- 透明や青い糸が皮膚越しに透けて見える
- 小さな穴から糸の端が飛び出している
まぶたの裏側(結膜側)
- 眼球に直接接触してキズをつける
- 強い異物感や痛みを引き起こす
- コンタクトレンズを外すと症状が悪化する
緊急度別!二重埋没の糸露出の症状チェックリスト

【緊急度★★★】今すぐ眼科受診が必要な症状
以下の症状が1つでも当てはまる場合は、24時間以内の眼科受診を強く推奨します。
- 視力の急激な低下を感じる
- 激しい眼痛で目が開けられない
- 大量の目やにや膿のような分泌物がある
- まぶた全体が赤く腫れ上がっている
- 発熱を伴う目の症状がある
【緊急度★★☆】早期受診が望ましい症状
2~3日以内の受診を推奨する症状
- コンタクトレンズを外すと強い痛みがある
- まばたきのたびにチクチクする
- 充血が徐々に悪化している
- 光がまぶしくて辛い(羞明感)
- 涙が止まらない
【緊急度★☆☆】経過観察可能だが注意が必要な症状
1週間程度様子を見ても良いが、悪化したら受診
- 軽い異物感がある
- まぶたに小さなしこりを触れる
- 二重の幅が変化してきた
- 朝起きると目やにが多い
二重埋没後の眼科受診が必要な5つの危険サイン

角膜損傷の兆候
二重埋没の露出した糸が角膜(黒目)を傷つけると、以下の症状が現れます。
- 視界のぼやけ
- 強い痛み(特にまばたき時)
- 異常な光の見え方(虹のような輪が見える)
角膜は視力に直結する重要な組織であり、傷が深くなると角膜びらんや角膜潰瘍に進行し、最悪の場合、視力障害を残す可能性があります。
細菌感染の徴候
二重埋没の糸の露出部位から細菌が侵入すると、以下のような症状が発生するリスクがあります。
- まぶたの熱感
- ズキズキする痛み
- 黄色い膿の排出
- リンパ節の腫れ
感染が進行すると眼窩蜂窩織炎という重篤な状態に至ることもあります。
結膜の慢性炎症
長期間の二重埋没の糸の刺激により、以下の症状が起こることがあります。
- 慢性的な充血
- 結膜の肥厚
- 瘢痕形成による違和感の持続
アレルギー反応
まれに二重埋没の糸に対するアレルギー反応が起こることがあります。
- まぶたの激しいかゆみ
- 腫れとむくみ
- じんましん様の発疹
眼瞼内反症の発生
二重埋没の糸の影響でまぶたが内側に巻き込まれると、以下のようなリスクがあります。
- まつ毛が眼球に触れる
- 持続的な刺激症状
- 角膜への慢性的なダメージ
二重埋没の糸が出てきた時の正しい対処手順

状況の確認(所要時間:5分)
必要なもの
- 清潔な手
- 明るい照明
- 手鏡(拡大鏡があれば尚良い)
確認手順
- 手を石鹸で30秒以上洗浄する
- 明るい場所で鏡を見ながら確認
- まぶたの表側を観察
- 下まぶたを軽く引き下げ、上を見ながら裏側を確認
- スマートフォンで写真を撮影(医師への説明用)
応急処置(症状がある場合のみ)
してはいけないこと
- 自分で糸を引っ張る・切る
- ピンセットで触る
- 市販の目薬を大量に使用
- アイメイクで隠そうとする
できる応急処置
- 清潔なガーゼで軽く保護
- 保存料フリーの人工涙液で洗浄
- コンタクトレンズの使用中止
- 眼帯での保護(眼球への刺激が強い場合)
医療機関の選択
眼科を選ぶべきケース
- 角膜にキズがある可能性
- 視力に影響が出ている
- 感染の兆候がある
- 元の美容外科が遠方・閉院
美容外科を選ぶべきケース
- 施術を受けたクリニックが対応可能
- 保証期間内である
- 二重ラインの修正も希望
- カルテが残っている
受診時の準備
持参すべきもの
- 健康保険証(眼科の場合)
- 施術時の契約書や領収書
- 使用中の目薬リスト
- 症状の経過メモ
- 撮影した写真
医師に伝えるべき情報
- 埋没法を受けた時期
- 施術を受けたクリニック名
- 何点留めの手術だったか
- これまでの症状の経過
- アレルギーの有無
眼科での治療内容と費用目安

眼科での診察の流れ
問診と視力検査(15分)
- 症状の詳細な聴取
- 視力・眼圧測定
- アレルギー検査(必要時)
細隙灯顕微鏡検査(20分)
- 角膜の傷の有無を確認
- 結膜の炎症状態を評価
- 糸の露出部位を特定
まぶたの翻転検査(10分)
- 特殊な器具でまぶたを二重翻転
- 隠れた糸の断端を探索
- 写真撮影による記録
眼科での治療方法と費用
【保存的治療】点眼薬による管理
適応:軽度の炎症、初期の角膜障害
処方薬
- 抗菌点眼薬
- ステロイド点眼薬
- 角膜保護点眼薬
費用:3,000~5,000円(保険適用)
【外科的治療1】糸の切除
適応:糸の一部露出、持続する症状
手技
- 点眼麻酔下で実施
- 露出部分のみを切除
- 処置時間約15分
費用:5,000~10,000円(保険適用)
【外科的治療2】完全抜糸
適応:重度の症状、感染リスク
手技
- 局所麻酔注射
- 顕微鏡下での抜糸
- 処置時間30~60分
費用:10,000~20,000円(保険適用の場合)
眼科での保険適用の条件
眼科での治療は、以下の条件で健康保険が適用されます。
- 医学的に治療が必要と診断された場合
- 角膜・結膜に障害がある場合
- 感染や炎症を起こしている場合
ただし、「美容目的での抜糸」や「二重ラインの修正」は保険適用外となります。
美容外科vs眼科:どちらを受診すべき?

診療科別のメリット・デメリット比較表
項目 | 眼科 | 美容外科 |
---|---|---|
角膜治療の専門性 | ◎ 高い | △ 限定的 |
顕微鏡設備 | ◎ 完備 | ○ クリニックによる |
保険適用 | ◎ 可能 | × 自費診療 |
抜糸の技術 | ○ 対応可能 | ◎ 熟練 |
二重の再手術 | × 非対応 | ◎ 対応可能 |
緊急対応 | ◎ 当日可能 | △ 予約制 |
カルテ情報 | × なし | ◎ 保管あり |
受診の優先順位フローチャート
第1選択:施術を受けた美容外科
- 保証期間内なら無料対応の可能性
- 使用した糸の種類や留め方を把握
- 同時に二重ラインの修正も可能
第2選択:眼科専門医
- 角膜損傷など眼球への影響が心配な場合
- 美容外科が遠方・閉院している場合
- 緊急性が高い症状がある場合
第3選択:他の美容外科
- 元のクリニックが対応不可の場合
- セカンドオピニオンを求める場合
- より専門的な修正手術を希望する場合
連携治療のすすめ
理想的なのは、眼科と美容外科の連携による治療です。
- 眼科で緊急処置(角膜保護、感染予防)
- 症状安定後に美容外科で根本治療(抜糸、再手術)
- 眼科でフォローアップ(角膜の回復確認)
二重埋没の糸露出を予防する術後ケアのポイント

二重埋没直後~1ヶ月:最重要期間
やってはいけないNG行動
- 目を強くこする
- うつ伏せで寝る
- 激しい運動やサウナ
- アイメイクの厚塗り
- まつ毛エクステの施術
推奨される行動
- 処方された目薬を確実に使用
- 枕を高くして就寝
- サングラスで紫外線対策
- 十分な睡眠時間の確保
1ヶ月~1年:定着期間
この期間は二重埋没の二重ラインが安定する重要な時期です。
スキンケアの注意点
- クレンジングは優しく円を描くように
- アイクリームは薄く伸ばす程度に
- まぶたのマッサージは避ける
生活習慣の改善
- 花粉症対策の徹底(目のかゆみ予防)
- ドライアイの予防と治療
- 適切なコンタクトレンズの選択
1年以降:長期メンテナンス
年1回の定期チェック
二重埋没の糸の状態を確認するため、以下の検査を推奨します。
- 美容外科での二重ライン確認
- 眼科での角膜・結膜検査
- アレルギー検査(必要時)
加齢による変化への対応
年齢とともにまぶたの皮膚は薄くなり、二重埋没の糸が透けやすくなります。
- 保湿ケアの強化
- 紫外線対策の徹底
- たるみ予防のケア
二重埋没の糸が取れやすい人の特徴と対策
高リスク群
- まぶたが厚い方
- 対策:脂肪取りの併用を検討
- 幅広二重を希望する方
- 対策:段階的に幅を広げる
- アトピー性皮膚炎の方
- 対策:皮膚科との連携治療
- 激しいスポーツをする方
- 対策:保護メガネの着用
二重埋没の糸に関するよくある質問とアドバイス

二重埋没の糸が出てきたら必ず抜糸が必要ですか?
必ずしも完全抜糸は必要ありません。症状の程度により対応が異なります
- 軽度の場合:露出部分のみ切除で改善
- 中度の場合:部分抜糸で対応
- 重度の場合:完全抜糸が推奨
ただし、感染リスクがある場合は早期の完全抜糸が必要です。
数十年前の二重埋没手術でも糸の露出は起こりますか?
はい、20年、30年前の手術でも起こり得ます。実際の症例では以下の割合で糸の露出が発生しています。
- 5年未満:20%
- 5-10年:35%
- 10-20年:30%
- 20年以上:15%
むしろ古い手術ほど、使用された糸の材質や手技の問題で露出リスクが高い場合があります。
片目だけ二重埋没の糸が出ることはありますか?
よくあることです。理由としては以下のことが挙げられます。
- 利き目の方が瞬きの回数が多い
- 寝る時の姿勢による圧迫の違い
- 元々の手術時の左右差
- 目をこする癖の左右差
片目のみの処置も可能ですが、バランスを考えて両目の処置を勧められることもあります。
二重埋没の糸の露出を放置するとどうなりますか?
放置は危険です。以下のリスクが高まります
短期的リスク(1-3ヶ月)
- 角膜潰瘍による視力低下
- 細菌感染による眼瞼膿瘍
- 慢性結膜炎の発症
長期的リスク(3ヶ月以上)
- 角膜混濁による永続的な視力障害
- まぶたの変形
- ドライアイの重症化
二重埋没の保証期間が過ぎていても美容外科で対応してもらえますか?
クリニックにより対応は異なりますが一般的には以下の通りです。
- 良心的なクリニック:実費で対応
- 一般的なクリニック:診察料+処置料
- 対応不可のクリニック:他院紹介
まずは電話で確認することをお勧めします。
妊娠中・授乳中でも処置は受けられますか?
状況により判断が必要です
妊娠中
- 点眼薬のみ:多くは使用可能
- 局所麻酔:要相談
- 全身麻酔:原則不可
授乳中
- ほとんどの処置が可能
- 一部の抗生剤は授乳中断が必要
必ず医師に妊娠・授乳中であることを伝えてください。
二重埋没について最終アドバイス

二重埋没法を検討中の方へ
二重埋没の糸の露出は完全に防げないリスクですが、以下の点に注意することで大幅にそのリスクを減らせます。
- 信頼できるクリニック選び
- 症例数の多い医師
- アフターケア体制の充実
- 保証制度の有無
- 適切なデザインの選択
- 無理のない二重幅
- まぶたの厚さに応じた術式
- 段階的な施術の検討
- 術後ケアの徹底
- 定期検診の受診
- 日常生活での注意
- 異常時の早期受診
すでに二重埋没の糸の露出症状がある方へ
「様子を見る」という判断が、取り返しのつかない結果を招くことがあります。
特に以下の症状がある場合は、迷わず受診してください。
- 視力への影響
- 持続する痛み
- 感染の兆候
眼科と美容外科、どちらを受診すべきか迷った時は、まず眼科で眼球への影響を確認してから、美容外科での根本治療を検討するという流れが安全です。
まとめ:二重埋没の糸が出てきたら適切な対処で解決可能

二重埋没法の糸露出は、決して珍しいトラブルではありません。
重要なのは以下の3つです。
- 早期発見・早期対処
- 適切な医療機関の選択
- 医師の指示に従った治療
症状を放置せず、適切な治療を受けることで、多くの場合は問題なく解決できます。
美しい二重まぶたを長く維持するためにも、定期的なチェックと適切なケアを心がけましょう。